電波と電磁誘導について
こんにちは。東京開発セクションの八尋です。
今回のブログではRFIDの伝送方式である電波方式と電磁誘導方式の違いについて記載いたします。
(他にも電磁結合方式がありますが今回は割愛させていただきます)
電波方式と電磁誘導方式
電波方式とは文字通り、電波によって電力を伝達する方式です。
電波の発生方法としては導体に対して高周波電流を流すことで電磁波を発生させることができます。
電波とは電磁波の中でも3THz以下の周波数を持つもののこととなります。
光も電磁波の一種であり電磁波の速さは光速(約30万km/s)と一致します。
もう一つの電磁誘導方式ですが、こちらはふたつのコイルを用意し、
一方のコイルに電流を流すともう一方のコイルにも電流が流れるという性質を
利用することで発生させることができます。
小中学校の理科の実験で実施された人も多いかと思います。
これらふたつの方式はともに電磁気学(古典電磁気学)のマクスウェル方程式を用いて説明することができます。
有効距離
電波方式と電磁誘導方式の有効距離について解説します。
電波方式について距離と電波強度の関係は、
マクスウェル方程式から導出されたフリス(Friis)の伝達公式という方程式で記述されます。
これは受信側の電力は送信側の電力とアンテナの性能に比例し、
通信距離・周波数の二乗に反比例するという式です。
※Dは指向性利得
電磁誘導方式の距離についてはマクスウェル方程式の3番目と4番目の式から導出されるビオサバールの式があります。
この式は微分方程式となっています。
lは電流の形状によって変わるためここでは円形電流(コイル)を想定し、コイルの中心軸にある磁界について考えます。
すると半径rのコイル、コイルからの距離lに対して
となります。
つまり、コイルからの距離lの3乗に反比例することがわかります。(※1)
こういったこともあり電磁誘導方式は電波方式に比べて距離による影響を受けやすいといえます。
※1.この式は電流の形状に依存することにご留意ください