量子コンピューター
量子コンピューターのハードウェア開発が日々進化するようになりました。
最近では光量子コンピューターをAWS上で使用することができるようになったという話もあり、
空想上の技術だった量子コンピューターが身近な技術になる日も遠くないのかもしれません。
そこで今回は量子コンピューターについて記載しようと思います。
量子コンピューターとは
量子コンピューターとは、今までのコンピューターが電圧の高低によって0,1の二つの値で制御していたものを、量子力学の量子状態を利用することでコンピューターと同様に高速計算できるようにする機械のことです。
特色としては量子状態を利用するため、これまでのコンピューターでは実現できなかった処理を組み込むことができることとなります。
量子コンピューターの種類
現在、量子コンピューターを実現するための方式として有力視されているものとして、超電動方式、イオントラップ方式、光量子方式、シリコン方式等が研究を進められています。
また、より先進的な技術としてマヨラナ粒子を用いて実現すると考えられているトポロジカル方式というものもあります。
また、量子コンピューターのマイルストーンとしては、量子アニーリング方式、量子ゲート方式・誤り訂正なし(NISQなど)、量子ゲート方式・誤り訂正、量子ゲート方式(トポロジカル)があります。
現在は量子アニーリング方式と量子ゲート方式・誤り訂正なしの研究開発を進めており、そこから更なる発展が期待されている状況です。
なぜ量子コンピューターは速く計算できるのか
「スーパーコンピューターを使うと○○○○年かかる処理が量子コンピューターを使うと○○○秒でできる。」
というような記事を目にすることもあるかと思います。
なぜ量子コンピューターは既存のコンピューターよりも速く計算できるのでしょうか?
それは量子コンピューターは量子状態(量子もつれや量子の重ね合わせ等)を利用したロジックの組み込みを行うことで計算のオーダーそのものをより少ないものに変更することができるからです。
具体例を挙げるとショアのアルゴリズムや量子位相推定といったものになります。
ショアのアルゴリズムは素因数分解を行うロジックとなりますが、既存のコンピューターで計算可能な一般数体篩法を用いた場合の計算オーダーが
となります。
これは準指数関数時間を要します。
しかし、量子コンピューターを用いてショアのアルゴリズムを適用した場合は
となります。
準指数関数の計算オーダーは多項式時間より大きな値となるため、nが大きな値になるとそれを計算するために必要になる計算時間は莫大な差となります。
これが量子コンピューターが高速に処理することができる理由です。
そのため、既存コンピューターで組んでいたロジックをそのまま量子コンピューターに組み込んだとしても計算速度の劇的な改善にはつながりません。
あくまでも量子状態を利用した計算オーダーを下げられるロジックを組み込むことで、高速化可能であることに注意が必要となります。
そのため、量子コンピューターについてはハードの改善だけでなくソフト側(量子状態を利用した高速計算ロジック)の研究についても重要です。
将来に期待
今回の記事は以上となります。
人類・社会の進歩発展に量子コンピューターが役に立つよう、今後の研究が待ち遠しいです。