AsReaderはアスリーダ?それともアズリーダー?
12月。冬至も過ぎ、年も押し詰まって、大阪ではようやく少しは冬らしくなりつつあると感じる今日この頃。寡聞(寡見?)ながら、師馳せ月(師走)の異名のようにお坊さんが彼方此方で走っている姿など、見たことのない広報の大橋です。
さて、来年早々に開催されるJAPAN IT WEEK 関西の出展準備も大詰めを迎えていますが、この時期の広報の大仕事の一つが製品パンフの改訂や展示会に合わせて発表する新製品の説明フライヤーの制作になります。
自社製品の訴求やPRを担うのですから、自ずと表記・表現に気を使いながら作業を進めます。
当社は自動認識機器のメーカーなので、製品のカテゴリーや説明にはどうしても外来語のカタカナ表記が頻出することになるのですが、そのカタカナ表記の統一にいつも戸惑ってしまいます。
例えばAsReader CAMERA-Typeの紹介コピーには『専用端末に負けないレーザーポインター付きバーコードリーダー』といった表記があります。
この一文でも「レーザポインタ」なのか「レーザーポインター」か、そして「バーコードリーダ」と書くか「バーコードリーダー」にするかといった具合にです。
実は、広報では2016年に【パンフレット、フライヤーの外来語カタカナ表記(特に長音符)の標準化】という内規を定めました。
それまでの当社は、JIS Z8301 に基く業界内の表記になんとなく沿った感じで、明確な指針に沿った表記規定がなかったため、その表記を採用した論拠に乏しく、時として統一性を損ない、書く人やドキュメントによって異なる表記になってしまっていたんです。
皆さんは、外来語のカタカナ表記に国家標準の規格(JIS)があるなんて、ご存じでしたか?
「えっ、JISって工業品の規格なんじゃ?」と思われる方も少なくないのではありませんか。でも、それがあったんですよ・・・。
JISによると
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a) その言葉が 3 音以上の場合には、語尾に長音符号を付けない。例:エレベータ(elevator)
b) その言葉が 2 音以下の場合には、語尾に長音符号を付ける。 例:カー(car) 、カバー(cover)
c) 複合の語は、それぞれの成分語について 上記 a) 又は b) を適用する。例:モーターカー(motor car)
d) 上記 a) c) による場合で、長音符号を書き表す音 例 1) 、 はねる音 例 2) 、 及びつまる音 例 3) は、それぞれ1音と認め、拗音は1音(例 4) としない。
例:テーパ( taper )、ダンパ damper )、ニッパ nipper )、シャワー shower
(JIS Z8301:2008 G.6.2.2 b 表 G.3 より引用)
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なんだそうです。
例えば現在のAsReaderパンフレットでは、ASR-030Dのキャッチコピーに「RFIDリーダーライター」と記載されていますが、上記JIS規格に従えば「RFIDリーダライタ」となるワケですね。
ところが、1991年に内閣告示として「外来語の表記」というものが発表されます。
そこには【外来語の表記 留意事項その2(細則的な事項)】Ⅲ 撥(はつ)音,促音,長音その他に関するもの という項目があって、「3 長音は,原則として長音符号「ー」を用いて書く」と記され、その注3に”英語の語末の‐er,‐or,‐arなどに当たるものは,原則としてア列の長音とし長音符号「ー」を用いて書き表す。ただし,慣用に応じて「ー」を省くことができる。”という風に書かれています。
つまりJISの規定に従った「リーダ」「ドライバ」「コンピュータ」などの表記は、あくまで『慣例』として認めるということのようです。
内閣がこのように告示したこともあってか、現在ではJISの方でも「長音は用いても省いても良い」という風になっています。
まあ、上記のような経緯もあって、私もですが、きっと皆さんも、このカタカナ表記の揺れ状態の中で違和感を感じつつ、自分なりの解釈で解決されてきたんだと思うのです。
で、冒頭のパンフレット制作時に悩む、という事象が発生するのです。
上記の表記における広報内規では、原則として内閣告示に準拠すると決めたんですが、私が提案しておきながら、長年JIS規格に親しんだ老齢故に自分の中で迷ってしまう体たらく、お恥ずかしい限りです。
と、ここまで書いて、やっと表題の話です。
私たち社員スタッフは、AsReaderを「アズリーダー」と読んでいます。なので表記も同様になるのですが、「リーダー」の部分は前述の通りでご納得いただけると思いますが、では、Asを「アス」ではなく「アズ」と濁るのは何故?という点の理由はどこにも述べられていませんよね。
事実、発売当初私たちはアスタリスクの開発したリーダーという意味を込めて「アスリーダー」と読んでいたくらいです。
ところが発売後、国内でご好評をいただき、満を持してアメリカでの展開へと歩を進めたのですが、その際に事件は起きました・・・。
お上品を旨とする私としましては、ポッと赤面して説明もできないのですが、彼の地で「アスリーダー」という発音は、とんでもないモノを読むリーダーの意味になってしまうと判明したのです!
お察しください。
斯くして AssReader は、もといAsReaderはアズリーダーとなったのであります・・・。