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バーコードリーダーとは、その選び方。その1

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最終更新日:2021年06月11日
バーコードリーダーとは、その選び方。その1

バーコードリーダーを導入する、もしくはリプレースしようとする際に必ず直面するのは「どのようなバーコードリーダーにするか」問題ですよね。そう、世の中には各種いろいろなバーコードリーダーが溢れ、性能も方式も値段も様々。膨大な選択肢を前に途方に暮れる、なんて経験をされた方も少なくないのではないでしょうか。
そこで今回は、いろいろな立場でバーコードリーダーを選ばなければならなくなった場合の参考にしていただくべく、「バーコードリーダーの選び方」の試論を提起してみたいと思います。もちろん、厳密な選定方法は用途や予算に縛られる中で、個々の状況により千差万別なことは承知していますが、ここでは汎用性の高い基準を念頭に考察することをご了承ください。

では、そもそもバーコードリーダーとはなんなのでしょうか。一言で言えば、いろいろなモノに印字や刻印または添付されたバーコードを、光学的に検知して読み取る装置です。で、基本的には様々な業務において目視や読み上げによる識別、カウントといったアナログな手段から、ヒューマンエラーなどの削減、効率化を目的として代替する自動認識技術の端末ということになります。
持って回った言い方をしましたが、要はビジネスユースの機器であるということです。マーケティング的な観点で言いますと、使用シーンがビジネスかプライベートかで、評価項目のプライオリティは大きく変わってきますので、与件として整理させていただいた次第です。購買行動の類型として、高関与・低製品知識・製品知覚差異小にカテゴライズされるものと想定して、その低製品知識部分について、必要なポイントを列記、考察したいと思います。

そもそもバーコードリーダーの性能とは

バーコードリーダーの性能が良いということは、一体どのようなことを言うのでしょうか。思い切り大雑把に言えば「パっと読んで、すぐさま登録できて、次に移る」一連の作業が滞りなく行えることが必要かつ十分な条件と言えるのでしょうが、この「パっと読む」ことは、とても多くの要素をクリアしていないとできないことなんです。
対象のバーコードは1種類だけですか?そのバーコードはきれいに印字されていますか?印字されている躯体はテカったり、光を反射していませんか?そしてバーコードはいつもリーダーに正対している状態で作業できるのですか?などなど、実際の業務環境によって条件は違いますし、それぞれに適した性能の要件も変わってきます。
また「すぐさま登録」するという点についても、バッチ処理で充分な業務であればデータコレクター的なリーダーで十分でしょうし、その場で登録した次の処理の結果が必要であれば、エッジコンピューティングに対応できるハンディターミナルなのか、スペースや機動性を重視しなくて済むPC接続型で良いのか、といった選択肢もでてきます。まあ、こちらは選定担当者であれば比較的判断もしやすいとおもわれるので、ここでは、まず「パっと読む」ための性能の基準をご紹介しましょう。

① 読み取り角度

対象のバーコードに対して、どの程度の傾きまで読み取り可能かを表す数値です。どのバーコードリーダーの仕様書にも記載があるはずです。そこには「ピッチ:±XX° ロール: ±XX°スキュー:±XX°」と表記されています。正対方向の角度を「チルト」、垂直方向の角度を「スキュー」、水平方向の回転を「ロール」と言います。
このチルトやスキューというのは、図画や美術の授業で習った遠近法を思い出してもらえるとイメージしやすいでしょう。どちらも手前の線幅(バーもスペースも)が太く、離れている方の線幅は細くなりますよね。バーコードは太バー(太スペース)と細バー(細スペース)の組み合わせなのですから、読み取る際に角度がついてしまうと、極端に言えば手前の細バーと奥の太バーの差が減じてしまうことになります。そうするとリーダーは、バーコードごとに設定されたレギュレーションとは違う比率構成のバーコードと判断したり、当てはまるバーコードが「ない」と判断してしまったりして、誤読や読み取り不可の結果を返してしまうことになるのです。角度のついたバーコードをソフトウェア側で補正処理する精度がデコード性能の一つの要素となるのですが、その性能を表しているのが「読み取り角度」です。(ソフトではなく、エンジンの性能で補正できる範囲も存在します)
もちろん、この角度が大きい方が「高性能」となります。

③ 読み取り距離(読み取り深度)

バーコードリーダーの読み取り可能な距離範囲を表します。バーコードリーダーの読み取り窓から、対象のバーコードまでの距離です。バーコードシンボルの種類や分解能によって値が異なるので、仕様書ではシンボルの種類と分解能をセットにして表記されることが多いです。ただJANやUPCについては、レギュレーションで基準サイズが定められており、その基準の0.8倍~2.0倍の範囲で有効だとされているので、基準サイズのJAN/UPCの場合の距離ということで、「100% JAN:○○cm」と記載されるようです。



バーコードから離れて読み取りできるタイプのリーダーでは、バーコードとの距離によって読み取り可能な分解能が変化することも覚えておいてください。(英語では「Depth of Field」といって、カメラの「被写界深度」という撮像のピントがあう距離の幅を示す言葉と同じ表現なのですが、バーコードリーダーは必ずしもピントが合っていなくても読み取りが可能なので、日本語表現が異なっています)

② 分解能

バーコードリーダーで読み取り可能な、バーコードの細バー(1モジュール)の幅の大きさで表しています。数値が小さいほど細かいバーコードまで読み取れるので、分解能が高いということになるのですが、一概に高分解能だから高性能と言い切ってしまうと語弊が生じます。
どういうことかと言いますと、分解能がバーコードシンボルの細バー幅より大きと、もちろん読み取り率が低下しますが、逆に分解能が高過ぎても、読み取り率が低下してしまう場合があるんです。分解能が高いということは、より小さいバーコードのバーやスペースを判別できるワケですが、その分、ボイド(バー部分の印刷のかすれや欠け)やスポット(スペース部分のしみや汚れ)という現象により、太バーを細バーやスペースに、スペースをバーにと判断を誤ってしまうケースが起こり得るのです。業務で使用するバーコードのサイズによっては、分解能をあまり意識しない方が良いかもしれません。

④ モーショントレランス(動体追従)

バーコードリーダーにおいては、日本語で「動体追従」と訳されることが多いモーショントレランスですが、英語ではMotion toleranceで、個人的には「動体許容値」的な感覚かと思います。
数値の単位は「○m/s」とか「○ips」と記され、m/sは毎秒○m、ipsは毎秒○inchの意味です。「秒速どれだけのスピードで動いている対象バーコードまでは読み取れる」ということを表している数値です。工場などの高速ベルトコンベヤー上を流れる製品や部品に付いているバーコードを、漏らさず読み取るのにピッタリの指標でもありますが、要は読み取りの速さを表してもいるので、手持ちでラフに読みとっても、手ブレにも強くというかブレる前に読み取りが終わるので、対象物の数が多ければ多いほど、この数値の大小で作業時間に大きな差が出てくるということになります。


高速回転する円盤に印字されたバーコードを読んでいる1シーン。
高モーショントレランスなら、こんなことも可能になります。

まとめ

バーコードリーダーの導入・リプレースなどでの選定に際して、数多あるリーダーを比較検討する上で、仕様書に書かれているデータの内、性能に関する指標となる項目を4つピックアップしてご紹介しました。主にリーダーのハード面での性能を表示しているものになります。
この他にも、読み取り方式として「CCDリニアイメージャー、CMOSエリアセンサー、レーザー」といった種別や、それぞれのリーダーに搭載されたデコーダーと呼ばれるバーコード解析ソフトなど、リーダーの性能に大きく関わってくる項目は多々あります。
長くなってきたので今回はこの辺りで終えますが、またの機会にでも、その他の性能指標などについてご紹介できればと思います。

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